【OAHSPE考察】OAHSPE-第9書『アフの書』第12章の考察

『アフの書』第12章は哲学的な内容のため,各命題について考察します。

第1の命題:何故「古代人は愚か」と思うのか?

ジェホヴィはこう仰せになりました。
「私は地球の草創期にやって来て,年を重ねるにつれて遠ざかるため,人間は『なんと,古代人は愚かなことだ!』と言うでしょう。
なぜなら人間の判断力が乏しかった頃に,私は恐怖と信仰を世襲heritageのように与えたからです。
しかし叡智の成長とともに,私は恐怖と,そして思考の下で証明されない事柄を取り除きます」

OAHSPE-9『アフの書』12章-2

冒頭の「私は地球の草創期にやって来て,年を重ねるにつれて遠ざかる」は,「この宇宙で地球を誕生させた際,創造主の御業により様々な生命体を育むのに手を貸してきたが,ある程度,生命体が育ってくるとあまり関与しなくなる」という意味です。
難解なのはその次で「人間は『なんと,古代人は愚かなことだ!』と言う」点です。
創造主が全面的に関与していた「地球の草創期」は,当然ながら道を踏み外すことはありません。しかし創造主の関与が薄まると,生命体(特に人間)は道をその分だけ踏み外していきます。
それに対して,創造主は「人間の判断力が乏しかった頃に,私は恐怖と信仰を世襲heritageのように与えたから」人間(=古代人)をそのように思うのだと指摘しています。
「判断力が乏しい頃」というのは古代人を指しています。「恐怖と信仰を世襲のように与えた」というのは「恐怖と信仰を古代人に与えた」と解釈できます。つまり古代人は「不可視の力」に対して恐怖を感じさせ,それを「信仰」として崇めさせたというわけです。

未知の力を怖いと思うから,その力を信仰する

だから現在の人間から見て,何もかも恐怖を覚え信仰する古代人の慣習を「愚かだ」と思う,というのが本節の内容だと考えます。
これに対して,叡智が成長してくると,この未知の力に対する恐怖心を取り除くと創造主は言っています。そのためには「思考の下で証明されない事柄を取り除く」ことが必要であり,つまり,論理的(科学的)に証明されたものに対しては恐怖しなくなる,という意味になります。

そのため次の言葉に繋がります。

コスモンの時代では、人間と天使は証拠を求めるべきです」(OAHSPE-9『アフの書』12章-3)

第2の命題:全ての起源はどこにあるのか?

創造主の言葉を聞いてください。
ある人が『その当時,言葉を話せる人間はほとんどいなかった』と言ったら,あなたたちはこう答えなさい。
『天界でもそうでした。なぜなら彼らは言葉を持たなかったので,理解することができなかったのです』
別の人がこう言ったとします。
『創造主は大きな事案を支配しても,小さな事案は支配していない』
別の人はこう言ったとします。
『天使はコスモン時代に来れるのだから、古き時代でも来れたはずだ』
そうしたらあなたたちはこう答えなさい。
『ジェホヴィ以前に,大小に関わらず,いつ地震が起きるかを誰が知っていると言うのですか?
彼はいつも臨在しているわけではないのですか?
決まった条件であれば,決まった結果をもたらさないのですか?』
彼らはこう答えるでしょう。
『そうだ』
そうしたらこう言いなさい。
『それならば,あらゆる調査の末に見つけた最上流の起源に対して,名前を付けてみてください』
彼らはこう言うでしょう。
『古代人はジェホヴィと呼んでいた』
彼らは自分たちが網の中でからまってしまったことに気付くでしょう。というのも,もしも地上の無知の状態が天界に無知をもたらしているのだとしたら,天界の光を地上にもたらすのは,上からでなければ,どうやってもたらすのでしょうか?
天界の光は上からもたらされるのであれば、諸国で語られる洪水の叡智は誰が発明するべきなのでしょうか?

OAHSPE-9『アフの書』12章-4,5,6

その当時,言葉を話せる人間はほとんどいなかった
これはその当時(=人類の草創期),ほとんどの人間は話せなかったという意味だと思いますが,「古き時代の話し言葉を理解できなかった」の設問に繋がらないので,このような設問を用意した意図が難解です。
この設問に対して,「天界でもそうでした。なぜなら彼らは言葉を持たなかったので,理解することができなかったのです」という模範解答を示したのは,地上の人間が話せないのであれば,天界の天使も同様に話せないということを言っています。

次の設問はこうです。
創造主は大きな事案を支配しても,小さな事案は支配していない
天使はコスモン時代に来れるのだから、古き時代でも来れたはずだ
この設問が用意された意図は,次の部分にあります。

大小に関わらず,いつ地震が起きるかを誰が知っていると言うのですか?

これは,意図的に引き起こせない天変地異(例えば地盤の歪み等で引き起こされる地震)は予測できないことを言っていますが,この部分は極めて難解です。
用意された設問自体が,どの設問に掛かっているのかが分からないからです。

恐らくですが,創造主はこの手の屁理屈をよく投げかけられていたのだと思います。
例えば「天使はコスモン時代に来れるのだから、古き時代でも来れたはずだ」とは「だから,古き時代の人間だけが愚かということはありえない」という意味なのだと思います。
創造主は大きな事案を支配しても,小さな事案は支配していない」とは,小さな事案,つまり人間のような地上の事象に創造主が関与していないという意味に解釈できます。
これに対して創造主は「あらゆる調査の末に見つけた最上流の起源に対して,名前を付けてみてください」と返しました。
この部分は,現在で言うならば「宇宙の起源」とでも言った方がよいのかもしれませんが,それに対する屁理屈を捏ねていた質問者は「古代人はジェホヴィと呼んでいた」と回答しました。
現在ではビッグバンなどと言っていますが,その事象は意図的に引き起こされたものなのか,それとも偶発なのか,を考えたら,恐らく科学者は誰も認めないと思いますが,意図的(人為的)に引き起こされなければ実現せず,それを実行した人物こそ創造主なのだと考えます。
科学者がいくら「ビッグバン」という名前でその事象を呼び表しても,結局,それを引き起こした存在を言及させたら「創造主」の存在に行き着くしかないのです。
「古代人はジェホヴィと呼んでいた」
この言葉は,現在に当てはめたところの「最初の起源(ビッグバン)」を「古代人はジェホヴィ」と呼んでいたことを説明しています。

このような問答を重ねた後に,次の言葉で締めくくっています。

もしも地上の無知の状態が天界に無知をもたらしているのだとしたら,天界の光を地上にもたらすのは,上からでなければ,どうやってもたらすのでしょうか?

これは全ての起源は創造主ジェホヴィより始まっており,全ての叡智は「天界の光(=ジェホヴィの光)」よりもたたされる,と解釈できます。
つまり天界が無知な状態であれば,地上も同じく無知であり,天界が成長すれば地上も成長していくという意味です。
ここまで様々な設問が用意されましたが,全てはこの部分に掛かっているわけです。

第3の命題:古代の教訓を伝えていくにはどうしたらよいのか?

ある人はこう言います。
『古き時代の話し言葉を理解するにはどうすればよいのでしょうか?』
別の人はこう言います。
『古い天界が取り除かれたことをどうやったら証明できるのでしょうか?』

OAHSPE-9『アフの書』12章-3,4

古き時代の話し言葉を理解するにはどうすればよいのでしょうか?
これは現在でも実感する言葉ですが,古代の言葉を見つけても,例えばロゼッタストーンのような現在の言葉との対応表がなければ理解するのは難しく,仮に理解できたとしても,どう発音すればよいのか分かりません。

「古い天界が取り除かれたことをどうやったら証明できるのでしょうか?」
これは,神アフが降臨した時代,パン大陸(ワガ大陸)は水没し,その地に属していた天界も消失しました。そもそもパン大陸の水没自体,現在には伝承程度しか伝わっていません。
それをどのように証明するのか,というのがここでの命題です。

そしてこれが本章の冒頭の命題にも繋がります。

新しい天界が創設され、古い天界が再生されたので、何が起きたのかを後世の人間と天使が分かるように,御印signsを顕現させましょう。なぜなら後世の人間や天使は地球で起きた洪水や粛正を忘れてしまうからです。
男神女神よ,考えてみてください,どうすればよいと思いますか?

OAHSPE-9『アフの書』12章-1

この命題に対して,創造主は次のように答えています。

それゆえに、彼らにこの件に関する天界と地球の言葉を与え,それを聖なる音としなさい。そうすればジャフェス,セム,ハム,グアタマと,そこに属する天界において証明されるでしょう

OAHSPE-9『アフの書』12章-7

これは人間は,古代の出来事を忘れてしまうので,「聖なる音」つまり「不可視の力に守られた音」を創り出すことを言っています。
証明されない「不可視の力」は,現在の私たちでも脅威に思います。そのような「聖なる音」を生み出して,それを語り継がせることで,人々はそう簡単には忘れない,という意味です。
例えば『旧約聖書』の創世記には,いまだに「ノアの大洪水」の逸話が残っています。これも「聖なる音(福音書)」という形で語り継いだお陰だと思います。しかし長い伝承の末に,正しく伝えられるとは限らない点が課題ですし,それは当然ながら神々も理解してのことだと思います。

結論

『アフの書』第12章は,最初の第1節に命題が掲げられた後,最後の節に結論を記していますが,途中で様々な命題が盛り込まれるため,かなり難解な内容となっています。これは『OAHSPE』の中でもかなり特殊な構成となっています。
そのため,この章を少し分解して考察しました。

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