14節
アシャは最高の良きものである。
『アヴェスタ』ヤスナ第27章 14節
それは望み通りに望む者のものである。
アシャはアシャ・ワヒシュタのものであるから。
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会
ゾロアスター教ではアムシャ・スプンタと呼ばれる七柱の神がいます。「ヤスナ」第1章の補注(「『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会」)をまとめると,アムシャ・スプンタとは次のような神々で構成されていました。
・アフラ・マズダ(最高神)
・ウォフ・マナフ(善思を司る神)
・アシャ・ワヒシュタ(善良を司る神)
・フシャスラ・ワリヤ(金属を司る神。「望ましい支配権」を意味する)
・スプンター・アールマティ(大地の守護神。アフラ・マズダーの妃。「恵み深い献身」を意味する)
・ハルワタート(健康を司る神)
・アムルタート(不死を司る神)
教祖ザラツゥストラが生きた時代,イフアマズダに妃がいたという記載は『OAHSPE』にありません。このアムシャ・スプンタと呼ばれる七柱の神々は,アフラマズダがイフアマズダの名を騙った後に構成されたものと考えられます。
そもそも『OAHSPE』の教義は,「人間が仕えるべき神は創造主のみ」であり,それは一貫しています。しかし14節では「アシャはアシャ・ワヒシュタのもの」と記されており,『OAHSPE』の教義と相反しています。
アシャが誰かのものであるとするならば,本来は創造主オーマズドのものなのです。
この1節が古代アヴェスタ語で書かれているのであれば,本来の文章は次のようなものだったと推測します。
アシャは最高の良きものである。
それは望み通りに望む者のものである。
アシャは(創造主)オーマズドのものであるから。
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