【OAHSPE考察2】ヤスナ第27章(13節-15節)

15節

我らはアフナ・ワリヤを祭る。
最も美しいアムシャ・スプンタ神であるアシャ・ワヒシュタを我らは祭る。
存在する神々のうちで,どの男神が祭祀において優れたものであるか,
アシャにより,アフラ・マズダーは知っている。
同様にどの女神がそうであるかも。
このような男神や女神を,我らは祭る。

『アヴェスタ』ヤスナ第27章 14節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

アムシャ・スプンタ神とは,アフラ・マズダーを含む七柱の神々を指します。アフラ・マズダーは創造主の御名を騙った偽神であり,本来の創造主オーマズドは世界を創造した際,最初に「全ての可能性を持つ」最良で最高の場所を創り,次に「全てにおいて善良」な場所を創りました。
その後,「エリヤナ・ヴァジャ」と呼ばれる精霊を創り,その次に神フラガパッティの家ハライティが創られました。(OAHSPE-20『神の言葉の書』8章-6,7,8,9)
神フラガパッティは上天の神であり,オブソドObsodグーマチェラGoomatchalaのオリアン長です。地球が自領のアザ弧でダンの夜明けを迎える際,地球を救済するために降臨しました。
このように,天界の神々は創造主ジェホヴィ(オーマズド)を筆頭に,まず上天の数えきれない神々が「涅槃ニルヴァーナ」と呼ばれる場所で暮らしており,宇宙の各所にある地球に下天が存在し,地球で生まれた霊魂を管理する神々が下天で暮らしています。
下天で暮らす神々は,さらに言えば地球を管理する神と,その神の下で働く主神がおり,アフラは元はクトゥスクと言い,その主神の一人に過ぎませんでした。(OAHSPE-21『真神の書』10章-1)
しかし地球に闇が訪れた際,地球の神々は闇のせいで創造主の声が聞こえなくなり,神々は不安に駆られました。
この時,主神であったクトゥスクはこう考えました。
「地球が闇に覆われて,そのせいで創造主の声が聞こえなくなり,神々だけでなく地上に住む人間や天界の天使たちが混迷するのであれば,闇が覆われても問題ないように,地球に創造主を創るしかない」
こういった動機により,クトゥスクはアフラの名をかたり,創造主を僭称しました。(OAHSPE-21『真神の書』10章-1,14)

偽神アフラが創造主の御名を騙ったことはアフラなりの理由があり,その動機を考えれば,地球で「アムシャ・スプンタ」と呼ばれる神の支配体制を築いたのも理解できます。地球が闇に覆われても,地球独自の創造主の下でその声を聞けるようにしたいという想いからでした。
ところがアフラは創造主より任命された地球の神と対立するようになりました。その結果,地球には創造主ジェホヴィ(オーマズド)と,偽神アフラの勢力が対立し,アフラは自身の正当性を主張せざるを得なくなりました。それが15節の「存在する神々のうちで,どの男神が祭祀において優れたものであるか」に表れています。この部分は,地球に存在する神々の中で,アフラに与する神々こそ,祭祀に相応しいということを言おうとしていたのだと思われます。
この一節が古代アヴェスタ語で書かれているということは,比較的早い段階で,アフラの正当性を主張するために書かれたものだということが分かります。

このヤスナ第27章は「祈祷句」という位置づけにあり,特に15節はアフラの正当性を主張する重要な一句でありました。

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