【OAHSPE考察2】ヤスナ第28章(1節-11節)

4節

善思とともに賛歌のために魂を記憶し,
[我らの]行いに対するアフラ・マズダーの報いを知っている私は,
私ができる限りそして力のおよぶ限り,アシャの探求に努めましょう。

『アヴェスタ』ヤスナ第28章 4節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

原文で真っ先に疑問に思うのは,数あるアムシャ・スプンタ・神の中で,何故アフラ・マズダーとアシャしか登場しないのか,という点です。『OAHSPE』のザラツゥストラの伝記が真実であるとすれば,アフラ・マズダーはイフアン人の神イフアマズダであり,アシャは,かつてのオアス王にしてザラツゥストラに師事したアシャとなります。逆に言えば,この2人の組合せしか考えられません。
これは推測になりますが,改竄前の原文は次のようなものだったと推測します。

善思とともに(創造主オーマズドへの)賛歌のために魂を記憶し,
行いに対するイフアマズダの報いを知っている私は,
私ができる限りそして力のおよぶ限り,アシャの探求に努めましょう。


信仰の対象は唯一神であるオーマズド以外にあり得なく,賛歌を捧げるのは当然ながらオーマズドとなります。
善行に励み,唯一の信仰すべき創造主オーマズドに賛歌を捧げることをここでは誓っており,それに反した行為をしたら神イフアマズダの報復があるため,善思と創造主オーマズドへの信仰を探求することを,信者である私たちを取り纏めするアシャとともに力の限り尽くしていく,という主旨を想定しています。

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