【OAHSPE考察2】ヤスナ第29章(1節-11節)

1節

あなた方にグーウシュ・ルワンは不平を言った。
「あなた方は誰のために私を創造したのですか,誰が私を創造したのですか。
怒りと暴力と暴虐,捕囚と虐待が私を縛っています。
私にはあなた方以外に牧者はいません。
ですから良き牧草地とともに私のもとに現れて下さい。」

『アヴェスタ』ヤスナ第29章 1節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

本章は全体を通して「救済の懇請」が説かれています。

概要テーマ
1節~6節怒りと暴力と暴虐,捕囚と虐待で縛られる現状に対して,未来はあるのかという嘆き。現状の苦境
7節~11節現状の苦境を救済してくれる神々への祈り救済の懇願

本章は前半部分で苦境を強いられている現状をグーウシュ・ルワン(牛の魂)に代弁させた後,後半でこの苦境からの救済を神々に懇願するという構成になっています。

まず1節目となる本節では,荷役や畑仕事に駆り出されしいたげられているグーウシュ・ルワン(牛の魂)が,何故自分を創造したのかと神々に問うことから始まります。

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