【OAHSPE考察2】ヤスナ第29章(1節-11節)

11節

アシャとウォフ・マナフとフシャスラはどこですか。
先見の明のあるアフラ・マズダーよ,
ただちに私を大いなる贈り物へと受け入れて下さい。
あなた方さまへの我らの供物のために我らのもとへ下界に降りて来て下さい。

『アヴェスタ』ヤスナ第29章 11節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

本節では,アムシャ・スプンタ諸神のうち,アシャ・ワヒシュタ,ウォフ・マナフの他に,フシャスラ・ワリヤ(金属を司る神)を加えた三柱に対して,下界に降臨することを求めています。
金属は人間の生活を向上させるものですが,『OAHSPE』では実体界に固執しないことが求められているため,その教義に反した内容となっています。

以上がヤスナ第29章でしたが,本章ではグーウシュ・ルワン(牛)を通して,虐げられた者がこの現世を生きる上でどのように生きるべきかを説いていますが,その本質は「力による支配」であり,創造主ジェホヴィ(オーマズド)の世界観と異なります。
逆に本章の思想は『OAHSPE』21書「真神の書」に描かれた偽神アフラ・マズダの事績にかなり通じるものがあると感じました。
そのため本章は偽神アフラ・マズダが改竄した当時の内容が,そのまま現在にまで伝わったのだと考えます。

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