4節
アフラ・マズダーは,ダエーワによって,人によっていたるところで,
『アヴェスタ』ヤスナ第29章 4節
[かつて]なされたことを,そして今後なされるであろうことを,
最もよく記憶するものである。
彼は裁定者である。彼が望むように,そのように我らにあるように。
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会
本節は,不遇を託つ牛に対する裁定者としての役割を持つアフラ・マズダーについて述べています。
アフラ・マズダーは,ダエーワ(悪魔)が各所で過去現在未来にわたって行った数々の所業を記憶し,裁定する者だと言っています。
そもそも悪魔も元は霊魂(天使)であり,テトラクトに捉われ,創造主の教えに逆らって生きる者になります。そして悪魔は現世で生きる人間を闇の世界へと引きずり込み,その人間に宿る霊魂を闇堕ちさせます。
こういった霊魂の所業は,現世であれば人間の守護霊アシャールによってその者の記録が天使アサフに引き渡され,アサフは天界の主神に届けて,その記録は天界の図書館に保管されます。またこの世界の事象は神々や天使が記録し,天界の図書館に保管されます。
決して最高神(アヴェスタではアフラ・マズダー)が記憶しているわけではありません。
また創造主ジェホヴィは「審判を下す者」ですが,同時にあらゆる人格を保持している者「全人格」であり,善も悪も同居しています。創造主の「望むように」とはこの世界が成長することであり,そのためには善も悪も必要になるわけです。
そのため創造主の「望む」姿とは,人間が自分自身で成長の道を歩むことであり,そのために「気付き」の環境を整えることはできても,人間をそのような存在に作り変えるのは無意味であるため行っていません。
「あなた自身の意志で定命の者たちを美徳で縛り,すべての物事を制御しようとするのは,私の考えに反しています。もしもあることを強要されたとして,それがその人にとってどのような栄誉があるというのでしょうか?」
(OAHSPE-3『ジェホヴィの書』7章-25)
望みのままに行うというのは,創造主ジェホヴィの意に反することなのです。
この点が,偽神アフラ・マズダーと創造主ジェホヴィの違いなのだと思います。
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