【OAHSPE考察2】ヤスナ第29章(1節-11節)

8節

「我らの教えを聞くであろうただ一人の者が見つかりました。
すなわちザラスシュトラ・スピターマで,
彼は,マズダーよ,あなたとアシャのために
我らの賛歌を歌うことを望んでいます,
もし彼に言葉の甘美さを与えるならば。」

『アヴェスタ』ヤスナ第29章 8節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

本節では,アフラ・マズダーとアシャのために賛歌を歌うザラスシュトラを説明しています。
そもそも,数多くいるアムシャ・スプンタ諸神の中でアシャがアフラ・マズダーと並んで立っているのでしょうか?
その理由は,アフラ・マズダーに改竄される前の聖典『アヴェスタ』に,イフアマズダとアシャが頻出していたからだと考えます。
ザラツゥストラは生まれた頃から神イフアマズダと共に暮らし,オアス王のアシャを門下として,そして友として迎え入れ,最期はオアスの町でアシャに看取みとられながらその最期を遂げました。『OAHSPE-20:神の言葉の書』にも,この3名は主要な人物として描かれています。
この関係はザラツゥストラが書き残した『聖典』や,弟子たちが付け足したであろう外伝にも記されていたと推測します。
偽神アフラ・マズダーは初期の聖典『アヴェスタ』を改竄したため,ザラツゥストラやイフアマズダと行動を共にしたアシャをそのまま残したのだと思います。但し,アシャはザラツゥストラよりも20歳以上の年長であったため,初期の聖典には,ザラツゥストラが年長者のアシャに頭を下げる場面も描かれていたため,改竄後の聖典『アヴェスタ』ではこの構図をモチーフにして,ザラツゥストラを人間側の代表者として,そしてアフラ・マズダーとはアシャは天上界の神々という構図に落とし込まれたのだと推測します。

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