【OAHSPE考察2】ヤスナ第29章(1節-11節)

9節

そこでグーウシュ・ルワンは嘆いた。
「無力な世話人に,弱い男の声に満足しなければならないとは。
私はその者に力によって支配するものとなって欲しいと思っているのに。
救いの手を差し伸べる者は一体いつ現れるのでしょうか。」

『アヴェスタ』ヤスナ第29章 9節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

本節では,虐げられているグーウシュ・ルワンが,自分の脂身や牛乳が弱い者たちに施されていることに不満を抱いています。
これも『OAHSPE』の教義からは外れています。
無力な人々に献身するのは非常に大切な愛の形です。ザラツゥストラ(神イフアマズダ)はオアス王アシャが退位した後,全ての財産を捨てて托鉢を持って貧者と1年間暮らすように言いました。貧者のために献身することをザラツゥストラや神イフアマズダは奨励していたのです。ところが現行の聖典『アヴェスタ』に描かれるグーウシュ・ルワンは,それに否定的な考えを持っていました。そしてこれをアフラ・マズダーは否定していません。
つまり偽神アフラ・マズダーが思い描く世界とは,力ある者が支配する世界なのです。その結果,世界は力による征服が行われ,紀元前7,000年~4,000年のアフラ・マズダーの権勢が盛んだった頃,特に惨状となったのはギラクシとスーファであったと言います。(OAHSPE-21『真神の書』16章-4,5)

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