【OAHSPE考察2】ヤスナ第30章(1節-11節)

4節

そしてこの二つの霊が初めて出会ったとき,
まず,生命と死をつくり,最後には
不義者どもには最悪の世界が,義者には最良の思考があるように定めた。

『アヴェスタ』ヤスナ第30章 4節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

この節も『OAHSPE』とは異なっています。

イフアマズダの力,この権威により,私ザラツゥストラは創造物を明らかにします。
オーマズドは良い創造物を創造しました。
最初に創造したのは,『目に見えないもの』と『無』から土と水,不動のものfirm thingsでした。
2番目に創造したのは,『天界の光』とどこにでもある暑さheat寒さcoldです。
3番目に創造したのは,全ての生きる動物,魚,鳥でした。
4番目に創造したのは,人間の男女でした。
オーマズドは息子のヴィヴァンホを通してこう仰せになりました。
「話!声!言葉!
人間の男女は,創造した全世界で,唯一の話す動物でした。
オーマズドは『死』アンラメイニュアスAnra’mainyusを創造しました。そしてアンラメイニュアスに7つの頭を付けました。

OAHSPE-20『神の言葉の書』11章-1-4

『OAHSPE』によれば,創造主は最初に生きる者を創ってから,死を司る「アンラメイニュアスAnra’mainyus」を創造したと言います。
1行目の「二つの霊が初めて出会ったとき」に生と死が創られたわけではなく,最初に「生(生命)」が創られ,次に「死」が用意されたという流れになります。
3行目の「不義者どもには最悪の世界」とは「地獄」のことを指すのだと思いますが,地獄は創造主が用意した世界ではなく,現世(実体界)に未練を残した霊魂が,死によって現世を離れる霊魂を掴まえて引きずり込み,未練だらけの逃れられない阿鼻叫喚の世界です。成長しなかった霊魂が無事に昇天できた時,その霊魂が向かう先は「植民地」と呼ばれる場所であり,再教育はされても決して地獄のような場所ではないと考えます。
そもそも3行目の「最悪の世界」が再教育される天界のことを指しているのだとしたら,それはさすがに間違えており,最悪の世界」が未練を残した霊魂が作り出した世界(地獄)のことを指しているのだとしたら,それは創造主が作り出したものではないため,そもそもこの節自体に矛盾が生じています。

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