【OAHSPE考察2】ヤスナ第32章(1節-16節)

4節

なぜならお前たちは,最悪のことを命じるので,
人間たちをそれをすることでダエーワに愛されて繁栄するが,
ウォフ・マナフから離反し,
アフラ・マズダーの智恵とアシャからはずれるからである。

『アヴェスタ』ヤスナ第32章 4節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

この節は,悪事を働くダエーワに愛される者たちは繁栄するが,その一方でウォフ・マナフ(善思)から離れていくことをなじっています。
但しこの部分は『OAHSPE』の教義とは異なります。
『OAHSPE』の教義では,ドルク人は繁栄したいから悪事を働くわけではなく「テトラクトに委ねるが故に悪事を働いてしまう」ということになります。
そしてこのテトラクトは,死がある故に生まれるものだと『OAHSPE』は言っています。

全ての悪は,人間の『mortal』という状態から生まれたテトラクトtetractsによってもたらされます
(OAHSPE-17『オシリスの書』11章-14)

全ての悪は「死」という状態,つまり「限りある命」という意識から生まれるものだと言っています。
「限りある命」ということは,現世で何をやっても「意味がない」ということになり,現世で「悪いことをして」も罰せられないということになります。
7つのテトラクトも,根底には「死」=「限りある命」だと思ってしまっている部分から起因するのだと『OAHSPE』は言っています。
アヴェスタのように「繁栄したいから悪事を働く」わけではない点が,『OAHSPE』の教義との最大の相違点になります。

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