【OAHSPE考察2】ヤスナ第33章(1節-14節)

14節

ザラスシュトラは自分自身の命をも,贈り物として,
善思と行と語の優越性を,従順と支配力を,
マズダーとアシャに捧げます。

『アヴェスタ』ヤスナ第33章 14節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

本節は,直感ですが,原文(ザラツゥストラが最初に編纂した聖典)からの転用と考えます。
ここでのマズダーは,イフアマズダであり,アシャはザラツゥストラと友誼があったアシャです。

恐らくですが,ザラツゥストラが最後の町オアスに向かう前に,この聖句を述べたのだと思います。

自分自身の命をも,贈り物として

ザラツゥストラは最後の町オアスでの「死」を覚悟していたものと思います。本来は,イフアマズダの力を借りれば,オアスでの殉教は避けられました。しかしザラツゥストラはオアスの町の解放で自分の使徒としての役目を終えると予感していました。
だから「自分自身の命をも,贈り物として」この役目を果たし,全世界に「善思と(善)行と(善)語」を遺し,それに対する従順と支配力を,神イフアマズダと友人アシャに捧げると言ったのだと思います。

本章は,13節までが偽神アフラの主張が綴られていましたが,最後の14節だけは原文からの転用を発見することができました。
それだけでも本章は非常に価値のあるものだったと思います。

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