【OAHSPE考察2】ヤスナ第33章(1節-14節)

5節

あなたから長寿を,ウォフ・マナフから力を,
アシャから,アフラ・マズダーが住む正しい道を得たので,
すべての中で最も優れたスラオシャを助けのために私は呼びます。

『アヴェスタ』ヤスナ第33章 5節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

スラオシャとは「従順,服従,規律の神」です。
前節で「祭祀により悪の要素を取り除いた」流れを受けて,アムシャ・スプンタ諸神より「長寿」「力」「正義」を得たので,1節目の「原初の世界の法」を管理するスラオシャを召喚し,その助けを借りる旨が記されています。
この中で『OAHSPE』の教義と大きく異なるのが「長寿」です。
『OAHSPE』の教義では,長寿が美徳であるとは一切書かれていません。なぜなら現世の人間は,その肉体が活動停止(=死)を迎えたら,霊魂として昇天し,新たな人生が開始するからであり,現世の死で全てが終わるわけではないからです。
そうすると現世での「長寿」とはどんな利点があるのか,ですが,現世で交わった人々,現世で愛情を寄せる人々との別れを引き延ばせることです。もしくは現世の快楽を得ている人々は,その時間を長く引き延ばすことです。
しかし現世で思うがまま快楽を得られる人は,ヤスナ第32章-4節に記されているように,悪事で繁栄した「ダエーワ」です。つまり偽神アフラが讃えている「長寿」は,悪事で繁栄したダエーワを称賛していることに繋がってくるわけです。

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