【OAHSPE考察2】ヤスナ第34章(1節-15節)

12節

あなたの規則は何ですか。あなたは何を望むのですか。どんな賛歌を,どんな祭式を。
マズダーよ,聞こえるように語って下さい,どのように規則の報酬を分配するのかを。
アシャよ,歩きやすい善思の道をアシャを通して我らに教えて下さい。

『アヴェスタ』ヤスナ第34章 12節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

本節は,奉献に対する報酬について記されています。
前節までと同様に,アフラの教義に則った内容となっており,『OAHSPE』との違いの一つになります。

そもそも『OAHSPE』では「全てのものは創造主のものである」という概念が根底にあるため,「何かを与えたら,何かをくれる」という発想にはなりません。なぜなら,人は「与えられるものを何も持っていない」からです。しかし現世では便宜上,法律により所有権が明記されています。法律により所有権が定められているため,それは「自分のもの」ということになります。だから「与える」という発想になるのだと思います。

現世で生きる上でそれは必要なことなのかもしれませんが,霊的な意味では間違えています。
現世と霊的な意味での折り合いをどう付けていくのか,つまり現世の法律上の所有権と,霊的な所有権(=創造主)という,相反する概念に対してどのように整合性を取っていくのかが,私たち,現世で生きる人間にとっての最大の課題なのかもしれません。

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