【OAHSPE考察2】ヤスナ第36章(1節-6節)

1節

この火の共同体とともに,
はじめに我らはあなたに近づく,アフラ・マズダーよ。
最も寛大なあなたのスプンタ・マニユを通じてあなたに。
スプンタ・マニユは,あなたが害に引き渡すものにとっては害である。

『アヴェスタ』ヤスナ第36章 1節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

天界の神々にとって,火と水はあらゆる創造物を加工したり,閉じ込めたりするのに使用する要素であり,『OAHSPE』では「火と水の杖」として,地獄に赴く神々に「力の源」として授けられたりもしています。
ゾロアスター教では,そのような「火」の共同体を形成し,最高神アフラマズダを崇拝したのだと思います。
スプンタ・マニユとはアフラの創造面を神格化した神といい,ゾロアスター教では,善も悪も創造する存在としてここでは描かれています。つまり,「あなたが害に引き渡すものにとっては害」とは,スプンタ・マニユが創造したものを「害」となるように使用したら「害」になる,ということを言っています。それ故にスプンタ・マニユを「寛大」と表現しています。

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