1節
思うままに支配するアフラ・マズダーは,
『アヴェスタ』ヤスナ第43章 1節
望む者を望む者には誰にでも与えるでしょう。
アシャを掴むために永続性と耐久力が来ることを私は望みます。
アールマティよ,富の報酬と善思の生活,それを私に下さい。
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会
本章は前後半の2部構成となっています。
節 | 概要 | テーマ |
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1節~6節 | 義者と不義者に相応の報酬が神々より下賜されることを望む。 義者への報酬は良いものであり,不義者への報酬は悪いものであることを。 | 義者と不義者の報酬について |
7節~16節 | ザラスシュトラは義者の味方となり,不義者の敵となる。 そうして守った義者に対して,神々は良き褒美を与えてほしい。 | 義者の味方,不義者の敵 |
全体的にはザラスシュトラは義者を守っていくので,その義者に良い褒美を神々は与えてほしいという内容になっています。
但し,後半はザラスシュトラが神々との問答形式を採っており,これが少し全体の構成を難しくしていますが,本章の主旨は一貫して「義者は神々から褒美を貰える」という内容になります。
こうした構成を踏まえて各節を考察していきます。
まず1節目ですが,本節の主旨は,大地を司る神アールマティから「富の報酬と善思の生活」を与えてもらい,最高神アフラ・マズダーからは思いのままに与えてもらう,という,あらゆるテトラクトが込められたような内容が記されています。
アフラのゾロアスター教は,人間の欲望に忖度したような内容を掲げて,多くの信者を獲得していったものと思われます。
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