20節
マズダーよ,良い力をもつダエーワどもがいるのでしょうか。
『アヴェスタ』ヤスナ第44章 20節
私はそのことを祭祀を行うものどもに尋ねます。
彼らとともにカラパン僧とウシジュ僧が牛をアエーシュマ(怒り)に引き渡し,
それによってカウィ族が魂において嘆かせ,
彼女のためにアシャによって牧地を栄えさせることに関心がない。
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会
カラパン僧とウシジュ僧はいずれも敵対勢力の宗教を師事する僧侶を指しており,カウィ族は敵対勢力の王族を指しています。
ダエーワは闇の種族であるドルク人を指しており,本節は「良い力をもつダエーワ」つまり善良なドルク人はいるのかという疑問否定から始まります。
当然ながら,その答えは否であり,そのようなダエーワ(ドルク人)はいないので,敵対勢力は跋扈し,アシャ(正義)の名の下に栄えさせようとはしないと述べています。
本章は全体を通してアフラマズダーへの問い掛けという形式を取りながら,正義,善思を通じてアフラに仕え,その教義を信じることで健康,不死といった報酬を得られることを述べています。
教義の深奥を説いており,とても興味深い内容となっています。
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