【OAHSPE考察2】ヤスナ第47章(1節-6節)

4節

マズダーよ,不義者どもはこのスプンタ・マニユから離れますが,
義者はそうではありません。
富める者でも義者にとっては悪しきものです。

『アヴェスタ』ヤスナ第47章 4節
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会

本節は,恵み深い霊であるスプンタ・マニユから不義者は離れていくが,義者はその傍に居続けるということを説いています。但し4行目でその不義者に「富める者」も含んでいます。もともとアフラは自分の教義に協賛してくれる者には報酬を与えるとしています。その報酬は「健康」と「不死」になりますが,ここで疑問なのは「富める者」も不義者に含んでしまうと,不義者を討滅した際に得られる「富」は誰が接収することになるか,という点です。富の再分配が行われないのであれば,不義者を討滅した時に得られる富は,アフラ自身が接収することになります。
結局,本節の4行目は,アフラが信者たちを扇動して不義者(教義に逆らう者)から奪った富を没収するための口実であり,無理やり後から付け足したように思います。

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