3節
しかし,マズダーよ,我らの選択に対して置かれているのは,
『アヴェスタ』ヤスナ第49章 3節
「アシャは利益のために,ドルジは教えを害するために」です。
このため私はウォフ・マナフとの交わりを望みます。
私はすべての不義者との交際を絶ちます。
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会
本節は前節の流れを受けて,バンドワ(悪)から逃れて善の道を歩むため,ウォフ・マナフ(善思)との交流を望むと説いています。
アフラが,創造主オーマズドのゾロアスター教を改竄しようとした背景には,ダンが訪れる度に人間の心が闇落ちするのを防ぎたいという願望がありました。
アフラは改心した後,かつての部下であったアヌハサジが創造主に反旗を翻してデユス(ゼウス)を名乗った時,こう言って諭しました。
「私もまた自分の栄光のために自分の王国を築いた反逆の神でした。当初,私は何事にも正義を実行しようと固く心に誓っていました」
(OAHSPE-24『対ジェホヴィ戦争の書』14章-10)
正義を遂行したいという願望がありながらも,本節の2行目で「アシャは利益のために」とあるように,利益でもって人間に正義を遂行させようとしていました。
利益のために正義を遂行させるというのは,かなり不思議な感じがします。なぜなら,利益がなければ正義を遂行しないのか,ということになり,本来,正義とは利益の有無とは関係ない話だからです。
しかしアフラが,それでも人間に「利益」という餌をちらつかせて「正義」を遂行させようとしていたのは,人間は気を許せばすぐに闇落ちしてしまうため,闇に負けない力,つまり「利益」で人間に正道を歩ませようとしていたのだと最近では思うようになりました。
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