1節
いかなる助けを私の魂は誰かに求めるのですか。
『アヴェスタ』ヤスナ第50章 1節
アシャとあなたと最上のウォフ・マナフ以外に,
アフラ・マズダーよ,
私の家畜と私の保護者として
呼ばれたときに明らかに,誰が現れるのでしょうか。
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会
まず本章は大きく3つに構成が分かれています。
節 | 概要 | テーマ |
---|---|---|
1節~5節 | 不義者が分け前や報酬を不正に手に入れている現状 →この状況を打破して,誠実なものに従いたい | 現状への嘆き 救いと希望 |
6節 | ザラスシュトラは「善思の創造主」の舌となり,世界の規則を教えてほしい →そうすれば私はあなた方に近づくことができる | 世界の理への渇望 |
7節~11節 | 世界の創造主が繁栄し,意のままに素晴らしいものが実現できる世界を 実現したい | 願望 |
本章は,最初に現状に対する嘆きから始まり,次に理想の世界について語り,最後にどうすればそれに近づけるのか,という構成になっています。
本章の問題は6節の部分にあります。なぜなら,本章は最初の5節でテーマは完結しているにも関わらず,まったく別のテーマとして6節を挿入しているからです。
どうしてこのような継ぎ足しの構成となってしまったのか,それについて考察していきます。
本節は「現状の嘆き」を綴っています。内容は単純であり,凄惨な立場にある自分は,誰に助けを求めればよいかというものです。
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