6節
マズダーよ,声をあげる予言者は,
『アヴェスタ』ヤスナ第50章 6節
アシャと友である敬虔なザラスシュトラです。
善思の創造主は舌の御者になり,
ウォフ・マナフを通じて私の規則を教えて下さい。
引用:『原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典』訳:野田恵剛 国書刊行会
本節は,前節とは変わり,世界に対する理への欲求が綴られています。
特に違和感を覚えるのは2行目です。
「アシャと友である敬虔なザラスシュトラ」
OAHSPEでは,年は離れていてもアシャはザラツゥストラの友として,ザラツゥストラが非業の死を遂げて,サルギスの姿で降臨する今際の際まで付き添っていました。
このアシャは,ゾロアスター教のスプンタ・アムシャ諸神の「正義を司る神」アシャではなく,ザラツゥストラの友にして,赤ん坊の頃からザラツゥストラを見守って来た定命の人間のアシャです。
そして1行目で問い掛けている「マズダー」とは,イフアマズダです。
ザラツゥストラに宿り,その生涯を見守ってきたイフアマズダにお願いして,創造主オーマズドに自分の下を操っていただき,この世界の「規則」を教えてほしいと懇願しているのです。
本節は原典からの転用であると考えています。この節を無理やり挿入したため,本章は非常に歪な3部構成になったと考えます。
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