【OAHSPE考察3-2】東日流外三郡誌『阿曽辺族之変』

阿曽辺族には,天を「人の頭」,地を「人の腹」,掌を「飢餓」,足を「陸と海」に譬えている。
そして眼を「明暗」,耳を「音」,鼻を「匂い」,口を「生命」,爪を「生死」としている。このように人間の身体を神からの授かりものとしているのは,阿曽辺族が,自分の祖先は天と地が交わって生まれ,万物は皆,自分の近親であると信じていたからである。
そのため人間の保存食は草木の実を食料とすることが多かった。また狩猟漁業も腐ってしまうほど採ることもせず,飢えを満たす程度で留めていた。

語部録阿曽辺盛祭文
(この祭文は後世のものである)
以下,省略。

『東日流外三郡誌』阿曽辺族之変 ※現代語訳(拙訳)

【解説】

この段落で興味深いのは次の文です。
阿曽辺族が,自分の祖先は天と地が交わって生まれ,万物は皆,自分の近親であると信じていた
冒頭の段落では「粛慎族」の説を唱えていましたが,ここでは「天地より生まれる」と言っており,矛盾しています。しかし「万物は皆,自分の近親」という考えは,全ての創造物は創造主の手から成るというOAHSPEの教義に基づいており,また「天地より生まれる」という考えも天地(=創造主)と見做せば,これもOAHSPEの教義に近いものがあるため,先住民の阿蘇部(阿曽辺)族ではなく,どちらかと言えば,イヒン人(津保化族)がもたらした考えなのではないかと思います。

本編(『東日流外三郡誌』阿曽辺族之変)では,阿蘇辺族に伝わる逸話などが記されていますが,B.C.22,000年よりも昔の先史時代の記録が尾鰭おひれもなく伝えきれるはずもなく,様々な要素が混在しているのはやむを得ないものがあります。
しかし祭祀や思想は口伝で伝えやすいため,後代でも幾許かは正しく伝わっている可能性もあります。特に「万物は皆,自分の近親」という考えは日本ではあまり見かけないため,こういった要素は先史代から正しく伝承された可能性があります。
こういった思想は,天界の神々や天使が人間の心(魂,soul)に呼び掛けた結果であるため,そう簡単には消えないものであり,神々に選ばれし民(イヒン人)の影響を幾許かは受けているのではないかと考えます。

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