【OAHSPE考察3-2】東日流外三郡誌『阿蘇辺族伝話』

奥州日高見国東日流江流澗郡語邑 帯川の作太郎が所持語板印による

神というのは天地水であり,山を父とし,海を母として崇拝していたのが阿蘇辺族である。
そもそも,人が住んでいない東日流の地に人類の始祖として住み始めた民である。
遡ること上代のこと,日本の歴史書には一行も阿蘇辺族のことは書かれておらず,東日流に足を運び,点と線で刻まれた語板により伝えられてきたものを用いて,この一巻に纏めた。

阿蘇辺族とは,寒さに強く,狩猟を得意としており,アベと自称した。
アベというのは「行かむ」という意味であり,定住の住まいを持っていない民のことを言う。
頭が小さく,顔面は骨張り,眼は窪んでおり,顎は強骨であり,口を閉ざしても牙歯が出ていた。
顔,掌,足を除いて全身毛深く,背は猫背で腕は長く,胴は長く股から下の腿は短い。
つまり猿が立って歩くよりも少しばかり人に近いが,言葉は少なく,身振り手振りで意図を伝えることが多く,危険が迫ったら声を出していた。
夏は樹の上の大枝に小枝を重ねて寝床とし,冬は土を手で掘って穴の中で起居し,火を使用することを知らず,毛皮を身に纏っているが,飢えたらそれを食べていた。棒と石の道具で狩猟を行い,子供は女だけが育てて男はいつも群れをなして狩猟していた。
このような半獣のような暮らしを10万年も続けており,寒冷氷河期の時代が来ると,故郷の地で暮らすことができなくなり,ようやく人間の知覚が芽生え,体形,脳髄,身長も人に近くなり,肌も毛深くなくなった。石を割って矛や刃を造り,投矛で狩猟するようになった。

『東日流外三郡誌』阿蘇辺族伝話 ※現代語訳(拙訳)

【解説】
東北地方の東日流(現在の津軽地方?)の先住民「阿蘇部族」に纏わる伝説を『東日流外三郡誌』より現代語訳したものを掲載しています。
今回掲載している内容は,一番最初に先住民として東日流に土着した阿蘇部族に関するものであり,阿蘇部族は「全身毛深く,背は猫背で腕は長く,胴は長く股から下の腿は短い」人種であり,元来,北の方に住んでいたが寒冷で食べる物がなくなったので,南を目指して東日流に住み着いたというのが主旨になります。
江戸時代の伝承なので,これが真実を伝えているかどうかはさておき,太平洋にあったワガ大陸(パン大陸)から北上してきた可能性もあるため,必ずしも南下だけが移住の原因とは限らないと考えます。
北上の理由の一つには,戦乱を避けることがあったはずです。パン大陸は闇の霊魂が支配していたため,戦乱が絶えず勃発していました。そのため安住の地を求めた末に辿り着いたのが,人も住まない寒冷の地,東日流だったのではないかと推測します。

阿蘇部族は「神というのは天地水であり,山を父とし,海を母として崇拝」していたと言い,偶像崇拝でした。後に荒吐神を信仰することになりますが,この当時は山や海を崇める偶像崇拝でした。

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