【OAHSPE考察3-2】東日流外三郡誌『阿蘇辺族伝話』

東日流の語り部の語伝板木にはこう書かれている。
「阿蘇辺族の言葉に『アベ』というのがあるが,それは『行く』という意味であり,次のような言葉が共通語となっていた。
カァ:与える
ド:父
ケェ:食え
サァ:立つ
ベ:役目
ン:何か
ダ:殺せ
パ:母
ハ:水
ラ:しらみ
ホ:神
ナァ:汝
ワァ:我
ツ:好き
ウナ:海
カチ:山
ジコ:老人
テケ:傷
ドス:病
バサ:魚
ビキ:乳児
マキリ:刃物
オテ:主
ボサ:熊
カデ:食い物
シミ:寒い
ケシ:失敗
ガコ:川
シガ:氷
ダサァ:誰に
テゲ:気が向かぬ
ドサァ:何処へ
コグ:為す
ガサ:葉
トド:海獣
バケ:夜
ゲス:屎(大便)
マツコイ:日輪
ツア:痛い
モホ:阿呆者

このように,現在の我々にも分からない言葉が残っていることから,阿蘇辺族の血脈は不滅であると改めて思う。

『東日流外三郡誌』阿蘇辺族伝話 ※現代語訳(拙訳)

【解説】

東日流地方の方言の一部が記されています。現在でも通じる言葉がいくつかあり,例えば「ゲス」は『下衆』などの当て字が使われ,「下々の者」という意味が転じて「身分の卑しい者≒心が卑しい者」となったと思っていましたが,阿蘇部族の言葉では「屎(大便)」の意味もあり,意味が酷似しています。
方言については考察の余地がありますが,ここでは深く追求しません。

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