【OAHSPE-格言】『愛』とその見返りについて

【解説】

紀元前22,000年前,現在の太平洋には「パンPan」と呼ばれる大陸がありました。その大陸は豊かな大地が広がっていましたが,当時,闇落ちした人間も大勢おり,聖なる民イヒン人は彼らに追われ,山や谷での暮らしを余儀なくされていました。
当時,地球の神ネフは状況の改善を試みましたが,もはや手に負える状況ではなく,やむなく創造主に助けを求め,神アフが創造主の要請に応じて救援に駆け付けました。
神アフの指揮の下,パン大陸は水没させられ,数多くの死者が生まれ,同時にそれに巻き込まれた死者の霊魂が大勢,天界に入りました。
地球の神ネフはこのような事態に至ったことを悔やんでいましたが,この時,創造主ジェホヴィはネフを慰めるように掛けた言葉が今回引用した部分になります。

地球で好き勝手に暮らして,闇落ちした人間がいる世界を統治するのが主神の仕事ではない,というのがここでの主旨になります。そもそもパン大陸の水没は,パン大陸自体が闇落ちした人間や天使が多すぎて,神ネフだけではどうすることもできない状況だったために引き起こされたものでした。このような状況になる前に手を打たなければならなかったのですが,ネフが神に就任した時には既に手遅れ感がありました。
この時,地球は『ジェホヴィの花嫁花婿』と呼ばれる善良な霊魂が一人も収穫できない状況だったからです。

それではこの『闇』とはどういう事態を引き起こすのか,ですが,興味深い話を以下に引用します。

神の天使が言いました。
「最後に話した者(ブラフマ)の言葉は『源泉Fountain Head』に到達した最初の答えになります。(中略)
私は今ここで下天の門を開き,あなたたちに見せたいものを見せるとしましょう」
天使は周囲の全ての光を撤収すると,大いなる闇が聖なる輪に出現しました。
すぐにユティヴが何かに怯え始めました。
ヴスが飛び上がり,「あれは何だ?」と言いました。
次にブラフマとホグ以外の全員が狂暴化し,驚愕しながらつぶやいていました。
「何を見ているのだ!
何て悪臭!
卑猥な肌触り!」
次に誰かが叫び,誰かが,誰かが,全員が壊れ,逃げ出すまで,恐怖と苦悩の悲鳴を上げて,林の暗闇の中を,恐怖で死にそうになりながら必死に飛び回っていました!
ホグは特に逃げ出したりはしませんでした。恐怖を覚えるようなものは何も見ておらず,不安に思うようなものを何も聞いておらず,恥ずかしがることは何も感じていなかったからです。
彼の父ブラフマも逃げ出したり,恐れたりしませんでした。二人は他の者に呼び掛けて,嘆願したりなだめたりしましたが無駄でした。彼らを抑えられず,暗闇の中で見つけることもできませんでした。
ブラフマとホグは小屋に戻り,明るく燃えている松明を見て中に入ると,そこにはユティヴと息子たちが腕を取り合って肌を寄せ合い,死者のように顔面蒼白となっていました。

OAHSPE-23『神の第1の書』19章-10-13

伝道者ブラフマは家族と一緒に,神に仕える天使のサルギスと会話していた時のこと,天使は下天の扉を開き,ブラフマ一家に「闇」を見せました。
ブラフマと末子ホグ以外,この闇に汚染され,狂乱し,恐怖に慄き,最後は光が灯る家の松明に集まり,全員が体を寄せ合いながら震えていました。
この逸話が示すのは「闇」という存在です。ブラフマの妻ユティヴはイヒン人の血を引く女性であり,簡単に闇に汚染されるような女性ではないはずですが,それでも天界の闇を浴びると狂乱してしまうほどでした。
これが闇のもたらす恐怖だとすると,水没直前のパン大陸は,この悲惨な闇に覆われた状況だったことが想像できます。
自分の利益のために,自分の快楽のために,自分の欲望のために,他者を犠牲にする世界が,当時のパン大陸だったのだと思います。

そのような世界を統治するための主神ではないというのが,創造主ジェホヴィの御言葉です。
人間は他人のために良いことをしてあげようとする『愛』が何よりも大切なのだと言い,その見返りとして,より豊かな『愛』があり,それがこの世界を闇から救うのだと思います。

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