【解説】
救済とは,何かに捉われた状態から解放されることをここでは意味しています。
神クペンタ・アミジは3つの救済を挙げています。
1つ目は「母胎からの救済」です。
母胎で生命が育まれ,人間の姿を形成し,やがて生まれてきます。母胎の中で捉われた状態から解放されても,その子供は無力で,何もできない状態にあります。しかしそれでも,母胎から解放されたという意味で,これを第1の救済としています。
2つ目は「テトラクトからの救済」です。
テトラクトは「すべての人間を野獣にする要因」として定義されており,その中でも以下の7つは特に重要な要因として挙げられています。
・アナシュ(Anash):言葉や考えによる粘質的な頑固さ
・ジンマ(Zimmah):邪悪な才覚
・ラー(Ra):悪であることの喜び
・ベリヤル(Belyyaal):無価値
・アヴェン(Aven):虚栄心,自惚れ
・ディバー(Dibbah):中傷や悪意の報告
・サタン(Sa’tan):特に他の6つの要素を喜ばせるリーダー的な存在
テトラクトは,実体界に固執すればするほど強まっていく要素であり,逆に実体界の事物に関心を持たず,自分の内面や霊的な事物に関心を寄せていくと,テトラクトの影響を弱めていくことができます。
実体界の肉体を持つ人間は,実体界の事物,例えば自分の財産や娯楽,快楽に興じていくと,それを維持したいという思いが強くなり,それが結果としてテトラクトを生み,強めていくことになります。しかしどれだけその思いを強くし,財産を蓄えていっても,残念ながら死後の世界には持っていけません。それで諦めがつけばまだいいのですが,そういった事物に執着すると,天界ではなく実体界に戻ろうとし,悪の霊魂(ドルジ)となり彷徨うことになります。
神クペンタ・アミジは,このテトラクトからの解放を第2の救済と位置付けました。
3つ目は「偉大なる霊魂の敵からの救済」です。
偉大なる霊魂,則ち創造主のことですが,創造主を信仰しない全ての者を意味しています。
例えば,OAHSPEでは「人間は自惚れており,自分を一番だと思い,神の言うことを聞かない」という言葉をよく見かけますが,自分自身も含めて創造主以外を信奉する全ての者が敵であり,その敵から解放されることを第3の救済に位置付けています。
この3つの救済が必要な理由は,人間(霊魂)が第3の復活,つまり上天に昇天するために不可欠なものだからです。実体界の生活に甘んじた者は,その肉体が滅んだ後,下天に昇り,そこで霊魂の浄化(教育,奉仕,労働)が行われた後,実体界に転生し,また死んで下天に昇るということを繰り返します。第1と第2の復活をひたすら繰り返すわけです。
しかしこれは地球という枠組みに捉われたものであり,その外側には上天と呼ばれる想像を絶する世界が広がっており,上天への昇天,則ち第3の復活を叶えるには自分の霊魂として階級を50以上にまで高める必要があります。
つまり救済とは上天を目指す上で必要な過程であり,第1の救済は始点からの再出発(やり直し),第2の救済は自分を現世に留める要因からの解放,第3の救済は上天に昇天させるための入界証の取得ということになるのだと思います。
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