【OAHSPE-格言】究極の選択を迫られた時,どちらを選択しても恐らくは正解である

【解説】

紀元前4,000年頃,ヴィンデュ(インド)で活躍した創造主の伝道師ブラフマとその妻ユティヴは,創造主の教えを伝道するため,各地で説法の旅に出ていました。
何十年も各地を旅した二人はやがて年を老い,ユティヴには死期が迫っていました。
ブラフマ夫妻には7人の息子がおり,その中でも末子ホグはユティヴがとても可愛がっており,二人の旅に同伴させていました。ユティヴに死期が迫った時,ユティヴを愛する子供たちがいる村に帰してあげよという神の御告げがありましたが,ユティヴの身体は歩くことも困難で,とても自分の足では村にまで辿り着けない状態でした。
この時,偶然,近くに騎馬隊の一行が通り過ぎようとしていました。ホグは彼らと交渉し,馬を手に入れようとしたのですが,手元にあったのは両親に内緒で信者たちから預かっていた金品でした。ブラフマの信者となった者は私財をブラフマに寄付していましたが,ブラフマはそれを一切受け取らなかったため,代わりにホグが父に内緒で信者たちから託されたのでした。
ホグはその金品に手をつけて騎馬隊の一行と交渉すれば,恐らく母を馬に乗せて村にまで連れて行くことはできると思っていました。しかしホグが手を付けようとしている金品は,父ブラフマが忌避していたものです。そのようなものの力を借りて,果たして良いのだろうかと悩みました。また悪事でないにしろ,金品の力で馬を手に入れて母を村に連れて帰っても,果たして母は心の底から喜ぶのかと不安に思いました。
最終的にホグは騎馬隊に金品と馬を交換してもらい,無事に母を村にまで連れて帰ることができたのですが,後にホグは母に無用な心配を掛けさせまいとして,あれこれと言い訳をしました。

さて,ホグが採用した選択ですが,恐らくどちらを選択しても正解だったのだと思います。そもそも,神は今まで貢献してきたユティヴへの温情として,彼女を息子たちが待つ村に戻し,最期の別れを交わさせたいと思っていました。しかし創造主の教えを守ろうとするのであれば,ブラフマが採ったように世俗の力(金品)に頼るのは好ましくありません。
ブラフマの息子たちの中で,末子ホグだけが霊的な能力がなく,合理的な思考の持ち主でした。ホグ以外の息子であれば,父ブラフマと同様に世俗の力に頼ることを嫌い,恐らくは馬を手に入れられなかったと思います。それもまた正しい行動ですが,神の意志には反しています。
世俗の力に頼ってしまったホグは,創造主の教えから少し外れてしまったのかもしれませんが,神の意図には沿っています。
結局,どちらも正しいわけですが,神は自分の意志に沿って行動してくれるのはホグ以外にいないと考え,その役目をホグに託したのだと思います。仮にホグが創造主の教えを守ろうとしてその役目を果たせなかったとしても正しい行いであるため,誰もホグを責めることはできなかったと思います。

どちらも正しいと思える究極の選択を迫られた時,恐らくどちらも正しいのだと思います。神はある程度計算して,その者にどちらかを選択させようとしているのだと思います。
ある程度悩み,どちらも決め難いと思った時はあまり難しく考えず選択することも必要なのかもしれません。

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