本書は第2の周期で,ジェホヴィの息子アションの書と同時代にあたります。
【1章】
- 最初,人間は裸であり,恥を知りませんでした。しかし主神は人間を立ち上がらせ,裸を隠すように勧めたので,人間はそれに従い,服を着るようになりました。
- 主神は長い期間,人間に寄り添って歩き,復活の方法を教えました。人間はそれに素直に従い,あらゆることを主神に頼りました。
- 主神は人間に言いました。
「ご覧なさい。私はあなたと共に歩き,教えてきました。しかし私が甘やかしてしまったせいで,あなたは自分で考えて行動することを怠ってしまいました。 - 今,私はあなたから一時的に離れます。そうすることであなたは自分を磨こうとするでしょう。
- しかしあなたたちが躓いたり転んだりしないように,私はある掟を残します。それらはあなたたちとその子孫にとっての,永遠の道しるべとなるでしょう。
- あなたたちの神である主神の命令を聞きなさい。
- あなたたちは生涯を通して,全身全霊で創造主を愛しなさい。
- あなたたちは隣人を愛しなさい。
- あなたたちは何も着ないで生まれてきたのですから,自分で服を着なさい」
- それから人間は主神に聞きました。
「見てください,あなたは驢馬に何を食べたらよいのかを教え,それ以外にも魚,蛇,ライオンといったいろいろな生き物に同じことを教えました。
それなのにどうして人間にだけは教えてくれないのですか?」 - 主神は言いました。
「地上から生えてくるもので,食べられるものは全てあなたたちに与えます。そうすればそれがあなたたちの食べ物になるでしょう。 - しかし血肉を持つあらゆる生き物は食べてはいけません。
- なぜならあなたたちは殺してはいけないからです」
- 人間は主神に聞きました。
「あなたはあらゆる生き物の雄と雌の生殖時期と期間について教えてくれました。しかしどうして人間の男女には教えてくれないのですか?」 - 主神は言いました。
「あなたたちは妊娠中の雌はその身に創造主を宿していることを,獣や鳥,魚から学ばないといけません。 - あなたはまた,女性の時間を尊重しないといけません」
- 人間は主神に聞きました。
「あなたは鳥にどのように巣を作り,肉食動物にはどのような手掛かりから獲物の匂いを追跡し,蜘蛛にはどのように網を織ればよいのかを教えました。しかし人間には家の作り方や,香草のように食べられるものや毒草について教えてくれません」 - 主神は言いました。
「あらゆる本能が鳥や獣,魚,昆虫,這うものに備わっています。しかし人間にはそういった本能を持たせていません。
それでも人間はそういった生き物よりもっと繊細な感覚を手に入れられます」 - 人間は聞きました。
「どうすればそういった感覚を手に入れられるのですか?」 - 主神は答えました。
「あらゆる叡智と力で他人に対して善行を施し,創造主に仕えなさい。あなたに宿る遥か高みの光に真心を込めることができれば,あなたたちはあらゆる叡智を授かるでしょう」 - こうして主神は一時期,人間の下から離れました。
すると人間は地球と,自分の快楽と肉体の欲望を満たすものは何であれ愛すようになり,卑しい身分へと堕ちてしまいました。
やがて大いなる闇が地球を襲いました。
人間は衣服を脱ぎ捨てて裸になり,欲望のまま情欲的になりました。
【2章】
- 主神は地球に戻り,こう呼び掛けました。
「私のところに来なさい,人間よ!
ご覧なさい,あなたたちの主神が戻りました!」 - しかし人間は誰も主神の声を聞こうとしませんでした。なぜなら人間は豪奢になったことで,霊魂が肉体の内側に包み隠されてしまったからです。
- 主神はイヒン人にルーイ(守護天使のアシャールの上の階級の天使。各世代をまたがる管理者)を遣わし,ルーイたちは主神の後継者を決めました。その後継者はまだ生まれていない時から血統を管理することで,主神の声を聞くことができた昔と同じ肉体を持った新しい人間の種族を世界にもたらしました。
- 主神は人間に言いました。
「あなたたちは私の掟を守らなかったので,自分や他の者たち,そして末代に至るまでその苦しみをもたらすことになったのです。 - 今,私はもう一度あなたたちを蘇らせて,闇に落ちた人間の種族を光があたる世界へと救済します」
- 主神は人間を叡智,平和,美徳の世界へと救済しました。そして地球は香しい花と贅沢な果物が実る庭のようになったのです。
- 主神は言いました。
「あなたたち人間よ,何か言いたいことはありますか?
あなたたちはまだ監視人が必要ですか?」 - 人間は言いました。
「見てください,私には力があり,知恵もあります。あなたは地球から去ってください。
私はあなたの掟を理解しています」 - 主神は聞きました。
「『創造主を愛しなさい』という言葉の意味を知っていますか?」
人間は言いました。
「はい,主神よ。
私の隣人を自分のように愛すること。他人に対して叡智と力を尽くして善行を施すことです。
そうです,私はあらゆる高次元の光を持っています。私は古代人よりも賢いです。
見てください,私は主神も神も必要としていません。私は全宇宙の最高の産物なのです」 - 主神は言いました。
「私はあなたたちを試します,人間よ。私は一旦,あなたたちから離れます」 - 主神は再び去りました。
人間は誰も尊敬しなかったため自分を手本とし,やがて傲慢になりました。
人間の種族は互いを打ち負かそうとし,戦争と破壊が続きました。 - 人間は自分の創造主を忘れました。
人間は言いました。
「私には何も見えないし,何も聞こえない」
人間は蛇(実体)から身を守ることを怠りました。
蛇は人間にこう言いました。
「あらゆるものを手に入れなさい。なぜならそれらはあなたのものなのだから」 - 人間はその言葉に耳を傾けました。するとどうでしょう,人間族は闇の中へと堕ちていきました。
人間は自分の妹や母を区別しませんでしたし,女性は兄と父を区別しませんでした。 - 神は人間の素行の悪さを見て叫びました。
「私の声を聞きなさい,人間たちよ!
主神の声を聞きなさい!」 - しかし人間は闇のせいで神や主神の声を聞くことができませんでした。
- 主神は天使を人間の下に遣わし,人間の理性に訴えました。
- しかし天使もまた闇を愛してしまい,人間から闇を取り払おうとしませんでした。
定命の者たちへの役目を果たせなくなった主神は地球から立ち去りました。
人間は堕落したことで階級を落とし,地球には枯れて腐った収穫物しかもたらさなくなったのです。
原文:OAHSPE – The 1882 Edition (English Edition)
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