【OAHSPE考察2】聖典アヴェスタとOAHSPEの関連性について

ゾロアスター教と『OAHSPE』との関連性について考察していきます。(逐次更新)

ゾロアスター教は神が唯一認めた聖教

 ゾロアスター教は古代イランを中心に信仰された宗教です。聖典『アヴェスタ』にはアフラ・マズダーを主神と崇め,この世は物質界と霊界の二元世界に分かれ,悪神アンラ・マニュとの戦いが描かれています。
 教祖ザラツゥストラ(ゾロアスター)は『OAHSPE』にも登場します。最初に登場するのは『フラガパッティの書』です。地球救済のために降臨した神フラガパッティは,地球の神を呼び寄せてこう言います。

あなたが選びし後継者ザラツゥストラZarathustraの死と復活を実行しなければなりません。

OAHSPE:『フラガパッティの書』5章-10

 引用文ではザラスシュトラの死と復活を告げています。『OAHSPE』では「復活」とは第1の復活を指していると思われます。同書の『フラガパッティの書』第32章-12で「ザラツゥストラがまだ定命の者であるならば」とあるので,神フラガパッティの時代,ザラツゥストラは地球上で存命していたのだと思われます。
 ザラツゥストラは神の声を聞くことができるラバrab’bahであり,神の言葉を書物に記したと思われます。(『フラガパッティの書』5章-17)
 ゾロアスター教の聖典『アヴェスタ』は21巻から成る膨大な書物で,1人の人物(教祖ザラツゥストラ)が書き上げたとは思えませんが,神の啓示をもとに記したのであれば別です。例えば『OAHSPE』が刊行されたのは1882年ですが,全書を翻訳するだけでも数年掛かる分量です。これをたった1人で創作するのは無理だと考えます。しかし自動書記という手法で記すのであれば別です。「創作/考察する」という過程がないので,翻訳と同じ期間で書き上げることは可能です。
 つまり聖典『アヴェスタ』を1人の人間が創作するのは不可能でも,神の啓示をもとに記すのであれば可能だということになります。そしてそれを行ったのが教祖ザラツゥストラでした。
 神フラガパッティはザラツゥストラを認めており,定命の者たちに悪事を指嗾するドルジを排除するため,霊魂が天界と地上を行き来するのを遮断しましたが,唯一の例外として許したのが,「スイsu’isサルジsar’gisを獲得した定命の者たち」です。神フラガパッティの時代,ザラツゥストラはそれが認められた人物でした。(『フラガパッティの書』31章-7-9)
 現在,聖典『アヴェスタ』は散逸している巻も多いのですが,それでも『OAHSPE』と思想が重なる点も多いです。例えば聖典『アヴェスタ』に記される「物質界と霊界」です。「『ヤスナ』第28章-2」では「物質界と霊界」の恩恵を与えてくださるように懇願する記述がありますが,霊界を見ることができない定命の者にこの記述を創作することはできません。しかしラバであったザラツゥストラが神の御言葉を聞いて記したのであれば,目に見えなくてもその存在を信じることができたと思われます。
 また神には,善神と悪神がいます。例えば悪神が定命の者を唆して,同様の手法で聖典を編纂させたら,何の力も持たない人にその内容を吟味することはまず不可能です。その結果,本来人々の心を豊かにする聖典が,争いや悲劇を生む火種となってしまいます。
 そうならないためには,『OAHSPE』の中で神フラガパッティが認めたザラツゥストラを開祖とするゾロアスター教の聖典『アヴェスタ』を分析し,この両書が真に信じられることを検証していく必要があると考えます。
 この考察では,紀元前1,000年頃に誕生したと言われる聖典『アヴェスタ』の思想が,19世紀末に出版された『OAHSPE』の思想とどれぐらい関連性があるかを調査することで,『OAHSPE』の世界観がどれぐらい信用できるのかを検証していこうと思います。
 


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